へこたれない”人生力”を身につける★★★「芸術起業論」(村上隆著)

へこたれない”人生力”を身につける★★★「芸術起業論」(村上隆著)

へこたれない”人生力”を身につける★★★「芸術起業論」(村上隆著)

 現代アートと言われるものに感動しなくなって久しいので、著者の作品には正直今でも関心が持てません。でも、日本美術界の閉鎖性やいいかげんさを踏み越えて、欧米のアートシーンのからくりを徹底的に学んで成功を手中にしたガッツには、本当に頭が下がりました。
 日本の芸術の持つ価値をいかにうまく世の中に伝えていくか、というテーマを念頭に書かれたと思われる第三章「芸術の価値を生み出す訓練」には、何らかの価値(著者は「発掘されていない宝」と表現しています)を手に入れるために踏むべき5段階の方針が示されています。


1、自分の興味ある表現分野を探し、その分野の歴史を徹底的に学ぶ
2、その分野に興味を持ち始めた理由を探す。興味の源泉は肯定的なことばかりではないから、理由を探すと必ず行き止まりになるが、それでも原因を究明する。
3、究明し終わると、それが本当に自分の興味ある分野かどうかあやうくなっているので、自分の興味ある表現分野がどこにあるのかを何度も検証し直す。
4、興味の検証を終えて歴史を徹底的に学ぶと、宝島に行くための地図が見えてくる。
5、地図を解析する勉強に励み、資金を整えて、いざ宝島に出かける航海を始める。
 これはもう、芸術家だけでなく、何かにチャレンジしたいすべての生活者にとって大切なことではないでしょうか。
 他にも、得意分野を掲げて独立しつつ、ネットワークを組む形でお仕事していくための極意が満載です。芸術家を名乗る人はもちろん、すべてのフリーランサー(またはそれを目指す人)や起業家におススメできます。字が大きいので、すぐに読めますし(笑)。私のライフテーマとは直接関係のない本でしたが、メッセージ性の高さを買って★3つ。

芸術起業論 芸術起業論
村上 隆 (2006/06)
幻冬舎

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5 件のコメント

  •  村上氏の作品は六本木ヒルズで見かけるたびに“狙いすぎ”な作風だなと思う意外の感想がなかったので書店で「芸術起業論」を見かけた時も興味をもちませんでしたが、この紹介でガゼン興味がわいてしまいました。
    特に5段階の方針はすんなりと自分の中に受け入れられるのに、今まできちんと考えたことが無い内容でした。

  • 梨花さん、こんにちは!
    >特に5段階の方針はすんなりと自分の中に受け入れられるのに、今まできちんと考えたことが無い内容でした。
    そうだよね。この本を読んでみて、新しいことを始めるに当たってはとっても大切なワークだと改めて感じました。梨花さんもぜひ!

  • あけましておめでとうございます。
    当方、昨年後半は某自治体の芸術行政(笑)を取材する機会があったので、この本には興味あります。
    芸術と行政との関係を見極める上でのヒントになればいいんだけど…別になんなくても面白そう。
    とりあえず読んだらまたお知らせします。

  • ナベユさん、今年もよろしくです!
    「芸術行政」ねえ~(笑)。あれは、単なる”身びいき”ってやつだと思いますけど(爆)。
    お仕事に結びつけて深く考えなくても、この本はなかなか面白いよ。もっとも、彼の作風には今もってついて行けないけどね。

  • かなり前に一気に読み終えたんだけど、報告が遅れてしまいました。
    会社勤めの身であっても、かなり勉強になりました。
    とかく「癒し」がもてはやされる昨今。
    もっと突き詰めて物事考えて、真剣勝負しなきゃだめだろうというメッセージが伝わってきました。
    この人の作風、私はものすごく嫌いというわけではないですが、とりあえずあのルイ・ヴィトンだけはもらっても使いたくないなあ…。
    で、最初に書いてた「芸術と行政」の話。
    この本読む限り、現代芸術に目をつけたどこぞの自治体の首長さんはいい線いってると感じたのですが、
    やっぱ村上氏とやりあえるような執念と経営感覚持ったキュレーターがいないと、難しいかも知れませんね。
    とりあえず、どらやき1個にも領収書をつけて請求するような運営じゃ……いかんのでしょうなあ(笑)。
    とりとめなくてすみません

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