これからの働き方&生き方はコレ!★★★★「チェンジメーカー 社会起業家が世の中を変える」(渡邊奈々著)
環境破壊や貧困をはじめとする様々な社会問題を、ビジネス感覚を持って解決することを目指し事業展開する社会起業家(Social Entreprenuer)と呼ばれる人たちの物語です。社会起業家については、拙著「ロハス・ワールドリポート―人と環境を大切にする生き方 」拙著の7章「ワーク&ライフ LOHAS を仕事にして生きる」でも触れました。きちんと利益を上げるだけでなく、社会をより良い方向に変える価値を提供する仕事をし、生き甲斐を得るというのは、これからの社会に求められる働き方であり、生き方そのものだと思います。
ホームレス向けの住宅再生で知られるコモン・グラウンド・コミュニティ、途上国の貧困克服に有効な事業への融資や経営支援で名を上げたアキュメン・ファンドなど、この本には日米欧で活躍する18人の社会起業家が主宰する活動が紹介されています。特にアメリカの事例は、私が一昨年に客員研究員として籍を置いていたコロンビア大学ビジネススクールのソーシャルエンタープライズプログラムをはじめとする米国の社会事業系ビジネススクールでの教科書に出てくるようなものばかり。いずれも、儲けながら社会に価値をもたらす企業やNGOのあり方です。
なぜ、米国にはこうした社会事業がゴロゴロあるのか―。
それだけ貧富の格差や自然環境の悪化がひどいという側面は、もちろんあります。しかしそれにも増して、社会的課題に同情の念を寄せるだけにとどまらず、こうした課題を解決しようと行動する人を応援する人々の意識が強いという点のほうが、より納得感があります。この点、日本との決定的な違いですね。
社会起業家のことを知っている人にとっては、現実的な課題についても知りたいはずなので、その点ではちょっと物足りなさも残るでしょうか。でも、ちょうど良い”難しさ”が社会起業家とは何かを知る上では格好の導入です。という訳で、★4つとさせていただきます。
チェンジメーカー~社会起業家が世の中を変える 渡邊 奈々 (2005/08/04) 日経BP社 |