エコビレッジから考える、環境と人を大切にする暮らし
エコビレッジ(Ecovillage、以下EV)って聞いたことあるでしょうか?
環境への負担をできるだけ抑え、一定のプライバシーを保ちつつ人と人の繋がりを大切にする暮らし方を実践するコミュニティのこと。特徴としては、
▼徒歩や自転車での移動を基本としながら、カーシェアリングなどの仕組みを通じて必要な時に車を使う
▼有機農業で自給自足的な暮らしを目指す
▼家屋は冷暖房の使用を抑える構造に
▼自然ネルギーや雨水の利用
▼コーポラティブ組織や地域通貨などによって、支え合いの地域経済を創造する
といったことが挙げられます。グローバルエコビレッジネットワーク(GEN)などによると、世界には既に1万5000カ所余のエコビレッジがあるとのこと。先週末に行なわれた「エコビレッジ国際会議」(ビーグッドカフェ主催)では、これらのうち、地方型EVとしてインドのオーロビルとオーストラリアのクリスタルウォーター、都市型EVとして米ロサンゼルスのLAエコビレッジ、都市近郊型EVとして米イサカのイサカエコビレッジ、という、計4カ所の事例が紹介されました。
それぞれの詳しい事例は上記ウェブサイトを参考にしていただきたいのですが、4カ所に共通するのは、お金もノウハウもほとんどない状態から10年以上の年月をかけて、環境にとって、そして自分たちにとっても心地よいコミュニティを築き上げた行動力と忍耐力があったことでしょう。これは、まだ本格的なエコビレッジと言われるものが少ない日本にいる私たちとしては大いに見習うべきです。一方で、日本にエコビレッジと言われるものを広げていくに当たって、世界の4つの事例からいくつか気がかりな点についても考えさせられました。
例えば、各国のエコビレッジは「多様な人々による共同体」を強調していますが、やはり白人が多い。エコ建築は何かコストがかさむということも関係していますが、場所によっては平均的な市価と同じぐらい値段が高くなり、結果として高所得層が相対的に多くなってしまう現実をどう捉えるべきか、という問題も残ります。
日本で今後エコビレッジを広げていこうとチャレンジされる方々には、こうした点についての回答をそれぞれのコミュニティでぜひ用意して欲しいと思います。そうでないと、コミュニティの外部から「あそこは閉鎖的」という批判が出かねません。現に、海外の事例の中には、コミュニティでの生活の精神性を強調しすぎる余り、カルトとまでは言わないまでもいささか宗教がかった印象を受けるところもあります。これは、日本では受け入れられないでしょう。
エコビレッジは、環境と人を大切にする暮らしを考える上でとっても良い実践です。だからこそ、海外の事例をただ真似したものではない日本独自のエコビレッジを発信しなければと強く思うのです。
参考;エコビレッジ国際会議で紹介された、日本の環境配慮型コミュニティの事例(入居済み、進行中の両方を含む)
●深沢環境共生住宅
●エコビレッジ鶴川/日野
●小舟木エコビレッジ
●コレクティブハウス・かんかん森
●エコライフ体験リゾート PICA山中湖