「オール電化」は本当にエコ?

「オール電化」は本当にエコ?

「オール電化」は本当にエコ?

 NPO法人「気候ネットワーク」がこのほど公表したリポート「オール電化住宅は地球温暖化防止に寄与するのか?」は、最近急増するいわゆる「オール電化住宅」の功罪について、CO2排出抑制という地球温暖化防止の観点から分析・論評したなかなか良質なリポートでした。
 「オール電化住宅」というのは、ガス台の代わりにIHクッキングヒーター、給湯にはヒートポンプ式温水器などの電気給湯機器、冷暖房にも電気をエネルギー源とする各種機器を使う住宅のこと。従来型の機器を使うよりも、熱効率が高く省エネになってCO2排出量が減るのでエコロジーだと言われています。また、ガスを使わずに安い深夜電力が使えるのでエコノミーだといったうたい文句も。これらが受けて、普通のマンションなどはもちろんのこと、環境配慮型のコーポラティブ住宅にまで導入されています。エコロジー&エコノミーなんて、確かにいいことずくめのように見えます。
 でも、リポートから受けた私の印象は、現在の日本の電力供給システムの中でオール電化を普及させるのはやはり’罪”のほうが大きい、ということでした。
 まず何よりも、オール電化住宅のほうが一般住宅よりもCO2排出量が大幅に多い(第2章3-2オール電化住宅のCO2排出量)。また、エネルギーが作られてから消費されるまでのプロセスを総合的に見た場合、エネルギーロスの大きい電力よりも、エネルギーロスがはるかに少ないガスのほうが効率が良いということも考慮されるべきです(第3章3-1電力供給の問題)。さらに極めつけは、オール電化で深夜電力を使うというのは、一度動かすと容易に止められない原子力発電所から垂れ流される電力を使うことなので、結果として原発を促進することにも繋がってしまうのです(第3章3-2深夜電力使用が意味することー原子力発電の問題ー)。
 リポートでは触れられていませんが、オール電化には電磁波の問題もつきまといます。特にIHクッキングヒーターからは、強い電磁波が出ていることが知られています。電磁波は、発がん性といった深刻なものから、めまいや吐き気といった様々な体調不良の原因になるという指摘もなされています。
 オール電化って、本当に地球環境と私たちの健康に配慮したものなのでしょうか?
 エコと言われているから選ぶのではなく、電力会社が一体何を意図しているのかを知り、考え、そして判断すべきだと思います。これは何も、オール電化住宅に限ったことではありません。注意すべきは、企業が何を言っているか(What the company says) ではなく、企業が実際に何をやっているか(What the company really does) です。
レポートはこちら↓
「オール電化住宅は地球温暖化防止に寄与するのか?」(全18ページ)
お時間のない方は、最後のまとめ部分だけでもぜひ!

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