道険し?マイ箸運動

道険し?マイ箸運動

道険し?マイ箸運動

帰国してそろそろ1カ月。帰国祝いと称して、親戚やお友達が居酒屋や寿司屋に連れて行ってくれる日々が続いています。ミュンヘンでは夢のまた夢だったおいしい刺身や日本酒に、日本人に生まれた幸せをしみじみかみしめているのですが、1つだけがっかりさせられることが…。
それは、行く先々ほとんどのお店で割り箸が出されること。*割り箸の生産に伴う海外の森林破壊(日本で使われる割り箸の97%が輸入です)。たった1回使い終われば捨てて燃やされるだけ―。こういうことを考え合わせると、平気な顔をして割り箸を使う気にはやっぱりなれない訳です。
*参考 My-Hashi プロジェクト
それなら、レジ袋を断る代わりにマイバックを持ち歩くように、出先で使うマイ箸を持って行けばいいはず。でも、マイ箸ってイマイチ広がっていませんよね。どうしてなんでしょうか。
お弁当

お弁当はもちろんマイ箸だけど…


私が考えるに、答えは簡単。マイ箸を持っていても、メリットが少ないからだと思うのです。
大半のお店では、マイ箸を持って行ったからと言って飲み物1杯サービスしてくれるでもなし。いわんや、お料理の代金から割り引きしてくれる訳でもありません(もちろん、こうしたお店も徐々に出てきていることとは思いますが)。
それに、使う場面によっては人間関係もぎくしゃくさせかねないような気もするのです。
例えば、目上の人(上司、先輩、親戚などなど)がとっておきのお店でごちそうしてくれるような場面で、おもむろにマイ箸を取り出したとしたら…。「何だ、こいつはオレの(私の)店が気に食わないのか」と先方が思い込んだとしても、不思議ではありません。メリットが少ないところに、下手すると嫌みなヤツだと思われてその場の雰囲気を気まずくしかねないとしたら、そこまでしてマイ箸を持たなくても良いと考えるほうが自然ではないでしょうか。
もちろん、ほんの数年前には考えられなかったマイバックがここまで受け入れられたように、マイ箸だって2、3年もたてば持ち歩くのが当たり前になるかもしれません。でも、今の状態が続くようでは絶対にムリ。私もマイバックは持ち歩いていますが、マイ箸を持つ気には今のところなれません。
では、こんな私のような人を含めて広く一般の人々に箸を持ってもらうにはどうすれば良いのか―。やっぱり、レジ袋と同じように有料化しかないのではと思うのです。
お店は、割り箸1本あたり数10円をお客さんから徴収した上で(たった10円でも違うと思います)、マイ箸を持参してくれた人にはちょっとしたサービスをしてあげる。さらに、このようにして割り箸ゴミを減らすお店が報われるよう、ごみ収集の有料化を一段と強化する。割り箸を使わないことでお店も消費者も得をするようなシステムを作らない限り、せっかく芽生えつつあるマイ箸ムーブメントは失速してしまうのではないかと心配しています。

ページトップへ