すごいぞ!ヘンプ麻
「オルタナ」3号のサブ特集では、”ヘンプ麻 恐るべき将来性”と題して、日本人にとって身近にありながら十分に活用されてこなかったヘンプ麻(大麻草)が、エコ素材として再び脚光を浴びていることについてリポートしました。「麻」という字を名前に持つ身としては(「あさ」とは読ませませんが)何ともうれしい限りですが、いやはやこのヘンプ麻、実に様々な用途に利用できる万能選手なのです。
まずはプラスチック。自動車の内装材に使われていて、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどの欧州の大手自動車メーカーで積極的に利用されています。ヘンププラスチックは、従来のガラス繊維よりも軽くて値段が安く、衝突安全性も高い。燃やしても自然に還るので、メーカーに使用済み自動車のリサイクル責任を課したEU指令にも対応できる理想的な素材なのです。ちなみに、日本のトヨタは内装材にケナフ(洋麻)を使っています。ケナフも確かに麻の仲間で天然繊維ではありますが、元々日本に自生のものではありません。
ヨーロッパでは建材での麻利用も盛ん。ヘンプを使った断熱材や床材を用いた住宅が各地に建っています。一方、カナダのように実の部分をナッツや食用油、肌に優しい化粧品素材としてさかんに利用しているケースもあります。
なぜ、こんなに利用されているのか?。ヘンプ麻は生育が早く、虫に強いので、農薬や化学肥料をほとんど必要としません。また、遊休地を活用できて、地域の雇用促進にもつながるということで、その利点に気付いたEU各国やカナダ、オーストラリアなどの国々では、90年代に麻のマーケットがぐんと広がったのでした。
こうした情勢を知った日本の一部の人たちによって、日本でも現在では麻を売り物にする様々なビジネスが生まれています。
ニューエイジ・トレーディング(麻食材、化粧品)
ヘンプレストラン麻(東京都世田谷区)
ジャパンエコロジープロダクション(麻の不織布卸売など)
株式会社日本ヘンプ(麻製品輸入、開発)
トムクラフト(麻素材内装)
ビックフィールド(ヘンプ・サーフボード)
ただ、ヘンプ麻が大麻取締法で厳しく規制されている現状では、ヨーロッパのような広がりは期待できません。環境や地域への貢献を評価して、マリファナ成分の低い種類のヘンプを産業用として栽培できるようになることが望まれています。
オルタナ3号「ヘンプ麻 恐るべき将来性」
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「麻研究」の第一人者、赤星栄志さんの著書も合わせてどうぞ。
ヘンプ読本―麻でエコ生活のススメ 赤星 栄志 (2006/07) 築地書館 |