いよいよ到来? 脱テレビ社会
私は海外在住のフリージャーナリストやコーディネーターをネットワークする団体にいくつか所属していますが、先日このうちの1つが発行するメールマガジンに非常に興味深いことが書いてありました。それは…。
日本人がテレビを見なくなっている、ということです。
視聴率ってよく言われますよね。これにはいくつか種類があります。例えば、番組平均視聴率というのは、番組を実際に制作したテレビ局の人や下請けの制作会社の人たちが一喜一憂する数字。それから、テレビ局の編成担当者が最も気にするのは、その年のテレビ局の平均視聴率を示す年間視聴率。もう一つ、総世帯視聴率(Households Using Television=HUT)というのがあるんですが、この数字がワールドカップで日本が敗れた6月後半を境に急激に落ち込み始めているというのです。
HUTとは、全世帯の中でテレビで放送を見ていた世帯の割合を%で算出した数字。典型的な一日のHUTの動きを見てみると、こんな感じなんだそうです。
グラフの線が谷になるのは、最も寝ている人が多い時間帯の真夜中の3時ごろ。HUTは7ー8%まで落ち込む。グラフは人々が起きだす時間に上昇し始め、出勤前の7ー8時に一つのピークを迎える(50-60%)。その後山はなだらかに下降し、夕方になると再び上昇。夜の7時ー9時半頃に一日で最も盛り上がる。これが、よく言われるゴールデンタイムという時間。HUTは67ー70%まで上がる。
でも、これは昨年のある日の話。ここ数ヶ月、ゴールデンタイムのHUTは67ー70%も稼いでいないそうです。6月後半は65%、7月最後の週は今年最低の62.9%を記録したのだとか。ゴールデンタイムのHUTの落ち込みと連動するように、各テレビ局に入る広告の出稿額も昨年より下がっている。業界関係者の皆さんにとっては、大変なことだと思います。
と同情するふりをしておいて何なのですが、私はここまでの話、すべて当然の帰結だと思っています。当たり障りのない内容の番組。出演しているのは、芸人とはとても呼べないようなお笑いタレントばかり。社会に警鐘を鳴らすような硬派の番組は、一体どこのチャンネルを回せば見れるのかー。この辺を何とかしない限り、日本人の”脱テレビ”行動は一段と加速するでしょう。まあ、私はそれでも良いのではないかと思っています。一度きりの大切な人生の時間を、価値のない無駄なものに費やす必要はありませんしね。