出産・育児と高層マンション症候群

出産・育児と高層マンション症候群

出産・育児と高層マンション症候群

2010年のクリスマス、2年余ぶりにブログを更新させていただきます!出産準備で休止して、生まれた息子が2歳2カ月になっての再開。この間、これまでの人生で最高難度のジェットコースターを経験したような…。ジェットコースターを降り、そろそろ今の遊園地を出て次の目的地に向かおうとしている2010年の暮れです。
前置き長くなりましたが、久しぶりの更新は肩ならし的に書評から。

高層マンション症候群(シンドローム)(祥伝社新書224) 高層マンション症候群(シンドローム)(祥伝社新書224)
(2010/12/01)
白石 拓

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高層マンションに住むということが、妊娠・出産・育児の局面で様々な悪影響を及ぼしうるーという内容です。主なポイントは、
・高層階に長く暮らすほど流産率が高くなる
・子どもの自立度が遅れる→日常の生活動作を自分でできない子どもが相対的に多い
・子どもの活動性が低い→低体温の子どもが相対的に多い
といったあたりです。
このテーマで長らく研究をしているという東海大学医学部の逢阪文夫氏が今年7月に発表した調査によると、10階以上に住む33歳以上の女性の66.7%が流産を経験していたそうです。もちろん加齢という原因も推測されるところですが、6-9階居住者の38.1%という数字と比べた時、やはり高層階の影響は否定できないのではないでしょうか。
子どもの自立度や活動性との関わりについても、日々動きの量・領域ともに大きくなっている息子を見ていれば、体感として理解できます。
この本では、こうした諸々の悪影響が出ている理由として、高層マンション特有の揺れによるストレスや、高層階を襲う光化学スモッグなどによる大気汚染に言及しています。これらはいずれも、一見しては分からないものばかり。妊娠・出産・子育てと命を守る「事業」を担ってみると、こうした目に見えないものにこそ敏感であらなければならないと思うのです。
さて、このテーマをめぐっては、英国はじめ欧米では数々の研究成果を元に政府として危険性を認識して対応策が講じられている国々がある一方で、日本では例によって対応がなされていません。だからなおさらのこと、一人一人がアンテナを高く張ることを求められます。これからも関心もってウォッチしていきます。

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