史上初、”CO2フリー”のトリノ五輪

 トリノオリンピックが始まった。記者として取材した長野からもう8年、時の流れの速さにはあぜんとさせられる。それはさておき今回のオリンピック、実はあることで画期的な大会だというのはあまり知られていない。トリノオリンピックは、五輪史上初めて二酸化炭素(CO2)を排出しない”CO2フリー”な大会となるのだ。
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(聖火点灯の瞬間【AFP=時事】
 16日間の大会期間中、競技施設の運営や選手・観客の移動によって生じるとみられるCO2は10万トン。これを金額換算し、国内外で植林や省エネ、自然エネルギー事業に投資することによってCO2の排出を相殺する。この仕組みは「カーボンニュートラル」と呼ばれ、エココンシャスなアーティストのコンサートなどで最近しばしば取り入れられるようになっている。トリノ五輪ではこのほかにも、ゴミをエネルギーにリサイクルしたり、物品の納入業者に環境配慮の基準を課したりするなど、広範な環境対策が行われている。
 自然環境を舞台に展開するウィンタースポーツには、どうしても環境を傷つける要素がつきまとう。長野五輪でも、滑降競技のコース設定をめぐって環境保護を主張する地元と主催者側が最後までもめた。そんなこともあり、最近のオリンピック、とりわけ冬季オリンピックで「環境五輪」を掲げるのはもはや当たり前だ。とはいえ、これまでの大会の環境対策の多くは、部分的、象徴的なものにとどまっていた。長野の選手村で特産のリンゴの繊維を用いたリサイクル可能な食器が使われた、といった具合に。環境対策に完璧というのは存在しないかもしれないけれど、トリノ五輪の環境対策はより包括的なものに近づいたのは間違いないだろう。
 6月に行われるドイツ・ワールドカップも、カーボンニュートラルや省エネなどを通じて、史上初の’CO2フリー”なW杯を目指す。今後、大きなスポーツイベントでは”CO2フリー”が世界の常識になるかもしれない。