フェアトレード、買い物から変えるライフスタイル
買い物を通じてこれまでの経済のあり方やライフスタイルを見直すきっかけとなる行動。それがフェアトレードです。
フェアトレード(公正貿易)という言葉を知っていますか?発展途上国からの原材料や加工品が先進国企業によって安く買い叩かれることで現地の人々が様々な形で苦しむ現状を打開しようと、彼らの経済的支援や自立支援を目的に適正な価格を保証して製品を輸入・販売する貿易活動のことです。製品を買う消費者の側から考えれば、買い物を通じてこれまでの経済のあり方やライフスタイルを見直すきっかけとなる行動と言えるでしょう。
フェアトレード商品には、化学肥料や除草剤を使わずに育てられた綿花を使った衣料品のほか、アクセサリーや工芸品、有機栽培のコーヒー豆やドライフルーツなどがあります。フェアトレードでは、生産者が安心して良質な製品を生産し続けられるようにするため、コーヒーなどは国際的な認証団体によって最低買入価格(市場価格の数10%増し)が決められ、長期契約で前払いに応じるのが一般的です。統一基準での認証が難しい衣料や工芸品などでは、生産者との合意に基づいて適正価格を決定し、児童労働を行わず、環境に配慮した原料を使用することなどを基準として商品のやり取りが行われています。
フェアトレードの輸入業者と生産者団体でつくる国際組織IFAT(本部・英国 )によると、IFATに加盟する世界約50カ国160団体の2002年の売上高は2億6000万ドル(約312億円)に上ったそうです。欧州ではフェアトレードの認知度が高く、国民の60~80%以上がフェアトレードについて知っているとの調査結果もあるほどです。しかし、世界第2の経済規模を誇る日本での認知度はまだまだ低いのが現状です。
日本の加盟団体の1つフェアトレードカンパニー(本社東京都目黒区)は、自由が丘にある店舗と通販マガジン「People Tree」を通じて様々なフェアトレード商品を販売するとともに、フェアトレードへの理解を深めてもらおうと折に触れて現地の生産者を招いたイベントなども実施しています。先月17日に東京都内で行われた国際フェアトレードデーのイベントには700人以上が詰めかけ、フェアトレードに関するトークセッションのほか、フェアトレード・ファッションショーやフェアトレード商品の販売が行われました。
止められなかった戦争、静かに確実に進行する環境破壊、そしてますます広がる貧困格差。20世紀から受け継いでしまった宿題を今世紀中に片付けるためにも、まずはお買い物のやり方を変えることから始めてみたい。
(2003年6月掲載)