家族の役割が大きいと、シングル化、少子化を招く

家族の役割が大きいと、シングル化、少子化を招く

家族の役割が大きいと、シングル化、少子化を招く

先日、ちょっとドキッとする内容の記事が出ていました。
東京は高齢世帯の44%が“おひとり様老人”に データが赤裸々にした厳しすぎる日本の未来 (ダイヤモンドオンライン)
もし、この人たちが互いに何のつながり合いもないまま老いて亡くなっているような状態になった時、日本は本当にもつのだろうか――。そんなことを考えていた折、「パラサイト・シングル」「格差社会」「婚活」など、1990年以降の社会現象を家族社会学の見地から提示してきた、社会学者・山田昌弘さんの最新刊にちょうど出会いました。

「家族」難民: 生涯未婚率25%社会の衝撃 「家族」難民: 生涯未婚率25%社会の衝撃
(2014/01/21)
山田昌弘

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若者の未婚化・シングル化がこのまま進むとどのような未来が待っているのか。シングル化が進む現状の要因を分析した上で、私たちがとるべき道をシンプルに示唆した良書でした。
まずもって、「いま、家族と経済が連動して、家族の経済格差に拍車がかかっている時代と言えるだろう」(本書より)という認識の共有から始めたいと思います。労働市場の非正規化、低賃金化に伴って、唯一のセーフティーネットとして日本社会で長く機能してきた「家族による保障力」が低下する中で何が起きているのか。それは「経済的に豊かな人のところに配偶者や子どもが集まって、経済的にも心理的にも家族の結びつきが強くなる一方で、経済的に苦しい人は離婚しやすく、子どもも離れやすく、家族から包摂されずにさらに厳しい状況に追い込まれる。」ということです。
シングル化の話になると、とかく「結婚しないのがけしからん」といった方向に行きがちですが、シングル化が問題なのではありません。シングルの孤立=家族難民になってしまうことが問題なのです。
その上で、家族の役割が大きいと、シングル化、少子化を招くということが明確に主張されていました。上述したように、家族が経済面と心理面と双方の安心を保障できる力が落ちてきているからですね。
安倍政権は、女性活用や少子化対策をさかんに訴え、諸々の政策を打っています。でもその一方で、家族機能の強化を明らかに志向しています。推進すると謳う政策の効果を減退させることを、他方でやっているわけです。その矛盾に気付いているのだろうか、と言いたくもなります(気付いてやっていれば確信犯ですが)。
最後に、家族難民を増やさないために私たちが個人として、社会としてとるべき策とした中から、印象的だったものを書いておきたいと思います。
(個人として)
・再婚も含め「婚活」を積極的に活用する
(社会として)
・選択的夫婦別姓を筆頭に、多様なカップルのあり方を認める
・シェアハウス、コレクティブハウスのような「集住」の選択肢を増やす
・個人単位の社会保障
個人の部分は何分、相性の問題があるので何とも言えませんが、社会としての方策はいずれも早急に進めていかないとマズいのではないかと強く感じたところです。

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