ジャーナリスト/コミュニティ・プロデューサー
木村麻紀 公式ウェブサイト

これからの働き方 ヒントになる2作

お次の読書備忘録は、ワークスタイル編。これからの働き方を考える上で、ヒントになりそうな2作品をご紹介したい。

ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方 ナリワイをつくる:人生を盗まれない働き方
(2012/07/02)
伊藤 洋志

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「現在『新しい働き方』として提唱されているのは、グローバル化が進んで競争が激しくなるから、世界に通用する高いレベルで能力を磨き、自分自身を広告的に宣伝し、稼げる仕事をしよう―おおかたこんなところではないか」(本書より)と。
「でも、世界を相手に競争しながら心身ともに健康でいられるのは、かなりのバトルタイプ(戦闘的)だろう。」確かに、自分はバトルタイプじゃないと感じる人は、世の中にいっぱいいるだろう。
伊藤さんも「これからの仕事は、働くことと生活の充実が一致し、心身ともに健康になる仕事でなければならない」とする。
そこで伊藤さんが提唱するのが「ナリワイ的働き方」。具体的には、小さな仕事を組み合わせて生活を組み立てていくこと。
ナリワイをどう見つけるか。伊藤さんのナリワイの一つ、「モンゴル武者修行ツアー」と「木造校舎ウェディング」から考える。これは年に2回ぐらいだから続けられるので、専業にして毎月開催などにしてしまったとたんに無理が増えるのではないか、と。「専業化することによって歪みが生じている分野は山ほどあるので、そういう分野を複業的にやることで、歪みを解消できれば意義があり、それはすぐにナリワイになる」という訳で、「ナリワイの種はいくらでもある」と。
「経済戦争下で生活をおろそかにしないという意味で、ナリワイを持つ、というのが大きな力になると思う」(本書より)
TTP交渉参加をはじめ、現在のアベノミクスによるバブル的経済政策は、このままだと一般市民の暮らしに様々な害を及ぼしそう。グローバル化の流れを全否定するつもりはないけど、無防備に身を委ねるのではなく、グローバル化への対抗軸を日々の暮らしの中で身につけておきたいもの。本書の内容は、働き方についての対抗軸を明確に打ち出している。

未来の働き方をデザインしよう―2030年のエコワークスタイルブック (B&Tブックス) 未来の働き方をデザインしよう―2030年のエコワークスタイルブック (B&Tブックス)
(2011/11/21)
石田 秀輝、古川 柳蔵 他

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地球環境制約を基盤に、バックキャスティングでワークスタイルを考えたら、どんなものになるのか―。本書は、際限なくエネルギーや資源を使う経済のあり方とは一線を画し、できるだけ環境への負荷を少なくするとともに、人々が健やかに楽しく働けるような50のワークスタイルを提案している。
本書のメッセージでもっとも刺激を受けたのは、この部分。
「『食と働き場を提供するサービス』が、まさに1次、2次、3次産業をワークスタイルを介して連動させる新しい業態となるのです。日本全体で産業ごとに分業する現在の大きな社会システムとは異なり、地域の中でエネルギーや資源が循環する社会システムになるのです」
この部分に連動する事例の一つ「地域仕事bar」(158ページ)は素敵です。環境制約で収入を得るための仕事が少なくなる一方で、大人も子どもも地域での活動が長くなり、それが当たり前になる。地域仕事barとは、自ら提供できるスキルを示して、地域の課題を話し合う場だとか。子どもやお年寄り向けの飲食メニューも充実していて、日中は小さいお子さんをお持ちの親御さんたちやお年寄りが集まり、午後になると学校帰りの子どもたちが、夕方には仕事を終えた大人たちがゆったりと過ごす―といったイメージでしょうか。これも一つ、グローバル化への立派な対抗軸としての「ローカリズム」をも併せ持ったワークスタイルだと思いますね。