子どもたちの幸福感世界一の国から

子どもたちの幸福感世界一の国から

子どもたちの幸福感世界一の国から

ようやく涼しくなってきて、ブログを更新するやる気が戻って参りました(苦笑)。忙しさのワケは、数日後に更新予定の内容でお察しいただけると思うのでここではさておき。忙しさにかまけて最近ちゃんと本を読めてないなあという反省を込めて、少し前に読んだ教育をテーマにした本の感想を備忘録的に。

祖国よ、安心と幸せの国となれ 祖国よ、安心と幸せの国となれ
(2011/10/01)
リヒテルズ直子

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子どもたちの幸福度世界一で(ユニセフ調査)知られるオランダ在住の日本人教育研究家による著作。社会をより良い方向に進める市民の力は、やはり教育によって生まれるのだなあとしみじみと実感させられた内容でした。
オランダでは、70年代から80年代初頭にかけて原発反対運動が展開。その際、市民、とりわけ若者たちはカネとモノに溢れた物質文化そのものに対する疑問、人々の生き方、人間が生きる環境のあり方そのものを問い、生きやすい社会づくりを求めて市民運動を広げていった。それは、それまでの単に労働者の権利保障を求めていくという、古い形の社会主義運動からさらに一歩進んで、人間の生き方、社会のあり方を問いかけ、共生的な生き方に対する共感を、社会全体に対して求める運動であったともいえる。
これが、高福祉システムを生み出す社会のドライバーに。一方、この時期オランダは2度のオイルショックを経験し、高福祉システムを支える経済成長が止まり、失業率の増大、財政破たんの危機に瀕する。そこに登場した政労使による「ワッセナー合意」は、その後ワークシェアリングをベースとした経済・社会モデルへと発展していく過程をたどった。
その結果、生まれた社会の姿とは?
・出産、子育て費用の助成で、家族をサポート
・学校への財政投資、奨学金制度などによる学費軽減策で、子どもの育ちをサポート
・同一労働同一待遇でワークシェアリングを可能に
・サービスの選択性を伴いつつ、「介護、看護は社会で」を可能にする福祉システム
そこには、いわゆる「ポルダーモデル」として知られる、政労使3者による話し合いと現実的な解を見出す政策協議の場「社会経済評議会」が重要な役割を演じている。
もし、私たち日本人がこのような姿の社会を希求するのであれば…。オランダの社会経済システムから学び、何を取り入れられるのか、取り入れられないのか、いよいよ考えどころだと思う。
リヒテルズさんと、尾木ママこと教育評論家の尾木直樹さんとの対談が掲載された『尾木ママと考える いじめのない学校といじめっ子にしない子育て』(尾木直樹 ほんの木)も面白かったです。

尾木ママと考える いじめのない学校といじめっ子にしない子育て (未来への教育シリーズ) 尾木ママと考える いじめのない学校といじめっ子にしない子育て (未来への教育シリーズ)
(2012/12/13)
尾木直樹

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特にこの部分、大いに頷きました。
日本の学校のように、いまだに「産業化社会モデル」のままである場合には、「黙って深く物事を掘り下げて考える」とか「人間関係をスムーズに維持できる」とか「自然界との接触がうまい」といった、数値化して測定できない能力は切り捨ててしまう。(尾木ママとリヒテルズさんとの対談部分より)

この数値化して測定できない能力をいかに伸ばしてやれるかに集中することが、学校外でできる親のサポートなのではないか——。あと1年半ほどで日本の学校社会に入っていく子どもを持つ身としては、そんな思いを新たにしているところです。

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