消費者が農家を変える

消費者が農家を変える

消費者が農家を変える

東日本大震災からそろそろ半年。事故当時2歳半手前だった息子のいる我が家では、事故以来、西日本の親戚からいただく野菜を中心に、神奈川県以西のものを食べるようになりました。放射能完全フリーでないことは承知の上で、我が家の置かれた状況と諸々の情報とを総合した私としての判断でした。息子の通う認可保育園の給食も同様の方針で食材を調達していることも先日公表され、安堵したものでした。
7月からは、雑誌「オルタナ」で連載いただいているフードプロデューサーの南清貴さんが、移住先の岐阜県の農家をネットワークして取り揃えた旬の野菜の宅配を利用しています。キヨさん(いつもそう呼ばせていただいているので)は、食と健康のプロとしてできるだけ安全な食材を届けるために自らの生活環境も変えられたお一人です。
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おととい届いたお野菜たち。今回はおなじみのトマト、きゅうりのほか、新顔の茗荷や黒瓜が届きました。菌床しいたけは、息子の顔ほどの大きさで肉厚!
キヨさんからの野菜はどれもいつも美味しいのですが(特にトマト!)、それに匹敵するぐらいうれしく、意味のある変化が、キヨさんのネットワークの農家の皆さんの間で生まれていると言うのです。
一言でいうと、
「農家としての誇り」
でしょうか。
キヨさんがメールマガジンでそのあたりを分かりやすくテンポ良く伝えて下さいました。これを読むと、安全で美味しい食を届けるという農家としての本来のあり方を取り戻してもらうためには、買うことぐらいしかできないと思いがちな私たち消費者の意思が本当に大切だということを実感します。ご本人の許可を得て転載させていただきましたので、ぜひお読み下さい!↓
*****以下転載(一部修正済み)
こちら(大垣)に移って約四ヵ月半。何軒もの農家を回り、農家が自家用に作っている
要するに農薬を使わない野菜を提供していただけるよう説得し、お願いしてきました。
たぶん、最初は農家の人たちも半信半疑だったんじゃないかな。
とにかく、こっち中部地区はそれほどの危機感もありませんのでね。安全な野菜を友人たちに分けてあげたいんだって言っても、「そうなんかい?」ってな調子だったからね。最近でこそ、放射能で汚染された牛肉が市場に出回ったりしてようやく、ほんとうに自分たちの身の回りに危機が迫っているんだと、実感した人もいたようですが。
でもまあ、とにかく僕を信用して、お野菜を分けてくれたんですよ、農家の人たちは。
そしたら、このアトリエ通信を読んでくれている人たちを中心に僕の呼びかけにすぐさま反応してくれてお野菜宅配を申し込んでくれた人がたくさんいたので、農家のおばあちゃんたちもびっくりこいているわけよ。
とっても、よろこんでる。
でね、もっとうれしいのはね、今まで僕に野菜を分けてくれていたおばあちゃんたちの次の世代、つまり僕と同年代か、少し下くらいの年代の人たちのこと。
その人たちはだいたい兼業で、みんな役場に勤めていたり、近隣の会社に勤めていたりするんだけど。そして、その人たちはいやいやながら、今まで農薬バンバンまきながら、化学肥料ビシバシ入れながら作物を農協に買い上げてもらうために意にそまないやり方で、なんとか農業を続けてきていたんだけどね。
その人たちが、俄然、協力的になってくれたのよ。
これって、すごいことだと思わない?
いやーーー すごいことですよ、これは。
とにかく、農家がみんなよろこんでくれている。僕たちのために野菜を収穫するのが、楽しいって。おばあちゃんたち、会うたびに生き生きしてきている。
うれしいよぉ!
僕は、とっても、うれしいんだよ、そのことが。
一方、お野菜が届いた皆さんからもおいしい、ありがとって メッセージが届く。おばあちゃんたちに、またそれを伝える。息子たちに、伝わる。
で、息子たち、ちょっと考え変わる。やる気、出す。
こうやって、少しずつではあるけれど何かが、変化しているんだ。
見えないんだけど、僕っていう一人の人を介在して、心と心が、気持ちと気持ちが、思いやりと思いやりが溶け合っていくようだ。
なのでね、若い連中(と言っても すでに50代より上だけど)がやる気になってくれたんで
、もう少しお届けできる軒数が増やせそうなので、ご親戚や、友人・知人の方々にもぜひ お知らせください、お野菜宅配のことを。
そして、みんながそういう安心・安全なお野菜をほしがってくれると、それは農家の人たちに伝わっていい野菜作る人が増えて、いい野菜ほしがる人も増えて、っていう連鎖がつながっていく。
これは、国も、自治体も、農協も関係ない。人と人、心と心がつながって起きている現象だ。
誰にも、とめることができない有機的な動きだ。僕が求めてきたオーガニックっていうのは
こういうことだったんだ。
NaturalAgingなライフスタイルを! AtelierKIYO便り Vol.17
2011年8月8日(月)号より
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*なお現在、キヨさんのお野菜宅配は最大限の量をさばいている都合上、ご注文いただいただいても宅配開始まで少々お待ちいただく可能性があるとのことです。

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