子どもを持つと”懲罰”が待っている日本

子どもを持つと”懲罰”が待っている日本

子どもを持つと”懲罰”が待っている日本

明けましておめでとうございます。新年早々ですが、ショッキングなタイトルの記事をご紹介します。ちょっと長いですが、お付き合いいただければ幸いです。
子どもを持つと”懲罰”が待っている日本(日経ビジネスオンライン)
著者であるファイナンシャルプランナーの内藤真弓さんは、4人のお子さんの育児をしながらお仕事を続けられたとのこと。1人でもヒーヒー言っている私としては、4人も育ててききたパワフル働く母さんが「こうすれば乗り切れるわよ!」と言うようなトーンの記事だったら食傷だなあと思っていました。ところがどっこい、日本で女性が働きながら育児をすることの現状と意味を非常に的確に捉えた記事でした。いわく、「私は運が良かった」と。
内藤さんは「たまたま仕事に恵まれ、保育園やベビーシッターや近所の人の手を借りながら、何とか綱渡りをしてこられた」と書いていました。「どれか1つでも狂ったら、『ハッピーだった』とはとても言えなかった」とも。
そう、どれかたった1つでも狂ってしまったら、今の日本では女性が働く母ではいられなくなると実感します。
この「どれか1つ」は、他にももっとあります。子どもが健康であることも、その一つです。親として気をつけることでクリアできる面もありますが、これも多分に「運」という側面があろうかと思います。パートナーや親戚の理解とサポートもそうでしょう。職場の上司や同僚との良い関係というのも大切。何より、女性自身が心身ともに健康でなければなりません。
仕事と子育ての両立には、実は多くの「留保条件」がある。こうしたことが、あまりにも知られず語り合われない。さらに、こうした留保条件が崩れることはいつ誰にでも起こりうるにもかかわらず、崩れた後をすくい取るセフティーネットが脆弱すぎるところが、この国の仕事と子育ての両立をめぐる最大の問題点だと思うのです。
日本のフリーキャスターの草分け的存在だった久和ひとみさんが生前、当時は珍しかったフリーランスという働き方について「後輩には勧めない」とインタビューで話されていたのが非常に印象に残っています。あれほど生き生きとお仕事をしてこられたにもかかわらず、フリーランスの醍醐味も厳しさも知り尽くした人だからこそ、現状を鑑みればとても無責任なことは言えなかったのかもしれません。
仕事と子育ての両立について言えば、今の私も生前の久和さんと同じ心持ちです。内藤さんも同じように書かれていました。とても率直なお考えだと思いました。
とはいえ、今のままでは決して勧められないからこそ、できるだけ多くの女性たちがチャレンジできる環境づくりに向けて、発言し、行動する責務(というと大げさですが)のようなものを最近、感じています。
内藤さんの記事は、twitterで見つけました。この記事に対してある女性が「仕事を辞めたくない私に、実の父母さえ『そこまでして働くことは』と言われたあの辛さは、私で終わりでいい」とRTされているのを見て、思わず「私たちの代で終わりにしましょう!」とメッセージさせていただきました。
無料登録作業をしないと読めない記事ですが、お勧めです↓
子どもを持つと”懲罰”が待っている日本(日経ビジネスオンライン)
私の一連の問題意識の萌芽は、既に昨年始めのこの企画にも表れています。こちらもご一読いただければ幸いです↓
環境ビジネスウィメン×雑誌「オルタナ」共同企画
子育てから考える日本のサステナビリティ

6 件のコメント

  • この記事、タイトルがすごくて配信されてすぐに読みました。本当にその通りだと思います。そして、そこまで悲惨なのかと暗澹たる気持ちになりました。姉が、健康を害するか、仕事辞めるか、どちら?という同じような状況にいます。
    元々スウェーデンもフランスも、19世紀はバリバリの女性差別国家だったのに、どこで別れてこんなに違ってしまったのでしょう?どうしたら、子育ては社会の益となる、「お互い様の」事だという理解にたどり着けるのでしょう?子育て先進国では、日常にどのような違いがあるのでしょう?病気の子供は保育園にいられる?保育園イベントはみんな平日?学校のPTAはどうしてる?

  • とんかちさん、コメントありがとうございます。
    お姉様の様子、お子さんの年齢やお仕事の条件にもよりますが、想像するに余りあります。私は今少し仕事のペースを落としました。子どもを大切に守るということは、実は自分を大切にすることと同義だと気付いたからです。「献身」「犠牲」は長続きしません。
    お寄せいただいた問いかけは、今色々と模索され始めているこの問題をめぐる道筋をつけていく上で、とても重要なものばかりです。これからも意見交換させていただければと思います。
    >
    > 元々スウェーデンもフランスも、19世紀はバリバリの女性差別国家だったのに、どこで別れてこんなに違ってしまったのでしょう?どうしたら、子育ては社会の益となる、「お互い様の」事だという理解にたどり着けるのでしょう?子育て先進国では、日常にどのような違いがあるのでしょう?病気の子供は保育園にいられる?保育園イベントはみんな平日?学校のPTAはどうしてる?

  • 新春早々、うなってしまいました。
    麻紀さん、このあたりのこと、
    ぜひぜひ、熱く、近々語り合いましょう。
    私はフリーランスママ4年目にして、
    やっとライフワークバランスというものを
    つかみ始めた感じがしています。
    今の私の状況+社会状況では、
    フリーランスというやり方しか
    ありえなかった。。。
    そして、今の自分の働き方、
    ライフワークバランスに、私は満足しています。
    これから進路を決める若い女性に、たくさん話をしたいという気持ちになっています。
    女性の仕事の選び方は、男性とおなじでは、今の世の中では、無理。
    結婚・出産・育児と両立できない仕事が大変多いからです。
    両立できて、さらに、自分にあった仕事を見つけること、
    簡単ではないからこそ、
    若い女性に、老婆心でたくさん話をしてあげたい
    そう思っています。
    でも、同時に、時代は変わる。。。と信じています。
    というか、
    私たちが変える使命を持っているのかもしれませんね。

  • 夏子さま
    100%同意です!!色々とシェアさせて下さいませ。来月お会いできるのを楽しみにしています!

  • 木村麻紀さん、こんにちは。
    たぶん、お久しぶり…です。私は現在は都内で30近く保育園を運営している会社で勤務していますが、11月まで藤沢のちびっこサロンで勤めていました。
    私は保育士の働く環境を改善するための業務にあたっていますが、保育業界の実態は、働く女性を救うどころか、「子どもを持つと懲罰が待っている日本」の最先端をいく業界だと認識しています。多少の語弊はあると思いますが、いわゆるスティグマというやつで、最近JPの山口社長のコラムでも同じような内容が語られていましたが、保育業界を含めまだまだ女性自身が女性の社会進出の足を引っ張っている現状も多多あると思いますね。語りだしたら止まらないのでひとまずこの辺で…w

  • 小助さま
    コメントいただき、ありがとうございます!その節は大変お世話になりました。
    実際的なエピソードではありませんでしたが、コメントなさった内容の背景については、色々な方々とのお話を通じて大いに想像できるところです(女性職場では大なり小なり共通するか、と)。その他、「この人、本当に子ども好きなのかしら…」という人が保育士やっていたり、といったことも「よくある」話のようですね…。
    貴重なお仕事をなさっていらっしゃいます。現場での問題意識を、また折に触れて共有させていただければうれしいです。頑張って下さいませ。

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