オルタナティブメディアの役割

オルタナティブメディアの役割

オルタナティブメディアの役割

先週末、独立系の市民メディア団体などの連合体「G8メディアネットワーク」が主宰したシンポジウム「環境・グローバリズム・メディア?オルタナティブメディアはG8で何ができるか?」が開かれ、スピーカーの一人としてお話させていただきました。
g8

お話しさせていただいたのは、分科会の一つ「環境とメディア」。台湾の独立系ウェブメディア「苦労網」の代表の方と私がそれぞれのメディアについて事例発表し、メディア研究者で自身もネット新聞「インディメディアjp」に関わるガブリエル・ハードさんにコメントいただきました。
苦労網は、主に記者経験のない方々によって運営されている、日本で言うところのいわゆる「市民メディア」。企業からの協賛は取らず、読者からの寄付や個別プロジェクトに対する政府からの助成金で賄っているのだそうです。元々は、新聞社の経営難で解雇された元記者たちが労働問題を中心に発信を始めたのがきっかけで誕生したのですが、最近では工場汚染や原発の新設といった環境問題にもテーマを広げているとのことでした。
ハードさんのコメントで印象的だったのは、オルタナティブメディアの定義と日本での受け止められ方との間に「ずれ」が見られるということ。オルタナティブメディアの作り手は、コンテンツが既存メディアと違うことをもってオルタナティブだと自負している節があるけれども、本来はそれだけではないというのです。学術的な定義では、コンテンツだけでなく、ビジネスモデルと読者・視聴者との関係、という3つすべてが既存メディアと異なる体系を持ってこそ、オルタナティブメディアなのだそうです。
それは例えば、編集長を頂点とするヒエラルキーではなく、メンバー全員に公平に決定権が与えられている運営体制かもしれません。広告収入だけに頼らない財務運営かもしれません。読者や視聴者に一方的に情報を流すだけでなく、何らかの形で彼らに制作に参加してもらう関係を築くことかもしれません。どれもすべて、これからのオルタナのチャレンジだなあと思い、妙に頭が整理されたような気がした一日でした。

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