ジャーナリスト/コミュニティ・プロデューサー
木村麻紀 公式ウェブサイト

そろそろ出番?排出量取引

 去る16日、WWFジャパン主宰の国際シンポジウム「『脱炭素社会』に向けた排出量取引制度」が開かれました。
 企業や事業所ごとに排出できる二酸化炭素(CO2)の上限を設定し(キャップ)、これを上回ってしまった主体と下回った主体との間で排出権を売買する(トレード)というのが排出量取引。企業にとって排出量を減らすインセンティブになりやすいという評価が定着していて、欧州(EU-ETS)や米国(シカゴ気候取引所)、オーストラリアではそれぞれ、国、民間、州レベルの排出権取引が既に始まっています。一方日本では、産業界を中心した頑強な反対もあって導入の兆しすら見えない状態が長く続いています。
でも、このままでいいんでしょうか。
オルタナ」4号でも書いたように、日本は京都議定書で約束した温室効果ガスの6%削減がこのままではほとんど無理な状態。約束を守るためには、私たちの税金や企業が稼いだ利益を使って、膨大な量の排出権を海外から買って穴埋めするしかなさそうです。「地球規模で排出量が減るからそれでいいじゃないか」という議論も理屈としては分かりますが、だからと言って日本国内の排出量を減らさなくても良いという結論にはなりません。
 日本国内の排出量の半分は、電力会社の発電所や鉄鋼会社の高炉、セメント会社や製紙会社などの工場からのものです。その数約80社。大規模排出企業の環境部長を一同に集めてキャップをかけて合意してもらい、あとは排出量取引を通じて頑張って減らしてもらうという要求を全くせずに、国民に「1人1日1キログラム減らしましょう」と呼びかけているだけでは、排出量はいつまでたっても減らないでしょう、きっと。
 京都議定書の目標達成計画の見直し作業は、いよいよ大詰めを迎えようとしています。増えた排出量をお金で穴埋めすることに対する国民の批判がもっともっと高まって、排出量取引や環境税の導入を渋ってきた産業界や経済産業省のお尻に火がつくことになるのか。見ものです。
 先日のシンポジウムを主宰したWWFジャパンは、大規模排出企業を対象とした排出権取引(キャップ&トレード)の導入を主張しています。彼らの主張のまとめた著書はこちら↓

脱炭素社会と排出量取引―国内排出量取引を中心としたポリシー・ミックス提案 脱炭素社会と排出量取引―国内排出量取引を中心としたポリシー・ミックス提案
(2007/10)
日本評論社

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