ジャーナリスト/コミュニティ・プロデューサー
木村麻紀 公式ウェブサイト

カーボンオフセット元年

 京都議定書の約束期間スタートを来年に控えて、温暖化を食い止めるための二酸化炭素(CO2)の削減がクローズアップされてきました。企業も個人もできるだけ排出を減らす努力をするのが先決ですが、現代社会を生きる以上どうしても排出してしまう分は何とかできないものか。その1つの答えが、カーボンオフセットです。
 カーボンオフセットというのは、事業活動や日常生活に伴って排出されるCO2の量を計算して金額に換算し、それに応じて植林したり途上国の持続可能なエネルギーに投資したりすることによって、CO2の排出量を差し引きゼロにしようとすること。欧米では2000年前後からさかんに行われて、その市場は2006年には世界で1億ドルにのぼります(世界銀行調べ)。
 例えばイギリスには、1997年に企業へのカーボンオフセットサービスの提供で創業した、その名もザ・カーボンニュートラル・カンパニーというこの世界では老舗といわれる会社があります。昨今のオフセット市場の盛り上がりで、02年ー05年にかけて売上高も3倍になったとのことで、先日来日した同社のマーケティング担当者は「今、こちらでは『ゴールドラッシュ』ならぬ『カーボンラッシュ』だよ」と表現していました。
 欧米では、カーボンオフセットは飛行機での移動を伴う旅行や出張に絡む業界でとりわけさかんです。その意味で、航空会社はオフセット市場の主役。ブリティッシュ・エアウェイズ(英国航空)は、公式サイトを通じてフライトで排出される分を相殺する金額を寄付できる仕組みを提供しています。
 一方、日本ではまだまだ手軽なオフセットの仕組みがなかったのですが、ようやく少しずつ動きが出てきました。
 企業やNPOの事業活動と個人の日常生活に伴って排出されるCO2の相殺を支援する本格的なプラットフォーム「日本カーボンオフセット(COJ、コージェイ)(有限責任中間法人、代表理事・末吉竹二郎)」がこのほど始動し、今日記者会見が行われました。
coj
代表の末吉さん
 COJは、京都議定書の「京都メカニズム」で決められたクリーン開発メカニズム(CDM)などを通じて海外で発行されるCO2排出権を購入。これを、温暖化抑制に貢献する商品開発を計画する企業や日常生活で排出するCO2のオフセットを希望する個人に活かしてもらう仕組みを提供するそうです。COJには、流通や金融、建設、メーカーなど16社が立ち上げ時の協賛企業として参加。その1つの西友は、カーボンオフセット商品として、マイバック「ハチドリくん」と自社ブランド「環境優選 みんなのバック」を発売します(詳細はこちら)。これらの売り上げの一部がCO2 削減につながる排出権の購入に充てられるので、消費者はこれらの商品を買うことで間接的にCO2をオフセットできるという訳です。
 COJを契機に、オフセット商品やサービスを私たちが手軽に買えるようになれば、今年は日本の「カーボンオフセット元年」となることでしょう。