Going Local ”地域主義”で行こう!

Going Local ”地域主義”で行こう!

Going Local ”地域主義”で行こう!

 自然環境を汚すだけ汚して、従業員を低賃金でコキ使うような大企業が主役のいわゆるグローバル経済が、私たちの暮らしをダメにしている―。そう考える人は、結構多いと思います。でもだからと言って、自給自足生活なんて無理だしイヤ、と考える人もこれまた多いはず。ではどうすればいいの?という問いに答えようとしているのが、この本です。

Going Local: Creating Self-Reliant Communities in a Global Age Going Local: Creating Self-Reliant Communities in a Global Age
Michael H. Shuman (2000/09)
Routledge

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 自然を大切にしながら安全・安心に暮らせる社会。本書は、それを創り出すカギが「自立したコミュニティ( Self-reliant communities )」にあると説きます。 「何だ、また自給自足か」と言うことなかれ。ここで言う自立したコミュニティとは、 私たちの生活で必要、重要なものを地域内で生産するように促す存在であって、決してグローバル化された国内・国際経済と断絶して”陸の孤島”になることを求めている訳ではありません。エスニックなファッションや雑貨といった私たちがちょっと「欲しくなる」ものを輸入したとしても、農業とエネルギー、水資源といった私たちの生存に「必要」な部分は地産地消でやりましょうよ、ということです。
 この際主役となるのは、世界をまたにかける多国籍企業ではなく、 従業員と地元市民が株主となる協同組合形式による営利企業「コミュニティ企業(Community Corporation)」です。本書では、市民株主会社によって運営されているアメリカンフットボールのプロチーム「グリーンベイ・パッカーズ」(米ウィスコンシン州)から、 地元市民の出資でスタートした会社を母体に、国内最大の冷蔵庫メーカーを含む約160の関連会社を傘下に持つまでに成長したスペインの 複合企業モンドラゴンまで、様々な事例を引きながらコミュニティ企業の意義を説いています。
 必要なことはコミュニティ企業によってローカルでやる―。ビジネスも社会もこれから目指すべきは、やはり”地域主義”だと確信しました。
 地域主義を志向する動きは、アメリカでは Business Alliance for Local Living Economies(BALLE) といった組織を中心に最近徐々に見えやすくなってきています(ちなみに、著者のマイケル・シューマン氏は BALLE の理事の一人)。都市のスプロール化、大型店舗による地域ビジネスの破壊、といったことが極限まで進んでしまった危機感の表れなのでしょう。初版発行が1998年なのでやや事例が古いのですが、テーマそのものは全く色あせない良書でした。

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